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コラム

大学入試改革おさらい② 「教員に期待されること」

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2019/10/29

入試の変化=学びの変化

大学入試制度が大きく変わる中、今後、高校や中学で求められる学び方、生徒が身に付けるべき学力はどのようなものになるでしょうか。大学入学共通テストはセンター試験とは大きく異なる特徴があることがわかりました。長い条件文や会話を読み解く(数学)、実際のコミュニケーション場面を想定できる(英語)、実用的な文章や資料を踏まえて考察する(国語)、原理を理解したうえで知識と関連付ける(理科)、あてはまるものを複数選ぶ正確な知識(社会)などが求められます。また、私立上位大学の出題傾向として「時事問題や現代社会で問われている課題」を取り上げることが増えているといいます。データを用いて対策を答えさせる、自分の意見を英作文で書かせるなど解答形式も複雑化しています。

<これからの大学入試で取り上げられるテーマ>

・AIやビッグデータなど、テクノロジーに関するテーマ
・SDGs (Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)、社会格差、ブレグジットなどの時事問題。
・公正、正義、利他性、共感、モラルなどの観点から見解の是非や、社会問題の解決法を論じる思考力

上記のようなテーマに基づいた問題に対応できる「知識」と「活用力」は、中高生の間にその土台を育成しなければなりません。これまでのような一方的な講義形式の授業ではなく、対話や探究的な活動を取り入れた学び方を授業に取り入れて、生徒の中に主張できる意見を育んでいく必要があります。これは教員も同じで、現実社会の課題を取り上げる際は、教科書だけでなく書籍や資料などに当たり、生徒たちと対話できるだけの知識や考え方のフレームワークを身に付けておくことが求められます。

新たな時代の教員を目指して

そもそも、大学入試改革は何を発端に始まったのでしょうか。21世紀に入り人やモノ、お金や情報の動きが国際的に流動化するグローバル化の波が押し寄せてきました。産業構造が大きく変化し、人々の働き方も大きな変革を迫られるようになりました。これからの人材は、飛躍的に進歩するAIやICTを活用しながら、課題を発見・解決する能力や、価値観の異なる他者とともに解決を見出していく「協働」の力が求められるようになってきたのです。

そのようなときに、従来の知識偏重型や1点刻みの入試では求められる能力を測れません。知識や技能だけでなく、思考力や判断力、表現力を試す入試に変革し、これからの社会を切り拓ける人材育成をしようというのが、大学入試改革の本来の目的であり、「大学入学共通テスト」導入の理由なのです。

今回の大学入試改革は、共通テストの導入にとどまりません。2024(令和6)年大学入試をめどに、現状の6教科30科目を教科・科目を簡素化し、地理歴史・公民分野や理科分野等でも記述式問題の導入を検討することが予定されています。また、CBT(Computer Based Testing)というコンピューターを用いて解答する試験方式の導入や、共通テストの複数回実施の可能性も、大学入試改革の会議では検討されましたから、今後も大学入試改革からは目が離せそうにありません。

もとより、大学入試改革は、社会が期待する人材育成のできる大学教育を目指そうとする、大学関係者の危機感から議論がスタートしています。これに合わせる形で、高校での学びも大学での学びに円滑に結び付くように、そして中学の学びも高校の、小学校の学びも中学校の学びに結び付く形になるよう、学習指導要領の改訂が行われました。

新学習指導要領のポイントは、「知識および技能」「思考力・判断力・読解力」「学びに向かう力、人間性」と3つの資質・能力をバランスよく育むことを、どの学年、どの教科でも一貫して掲げたことです。主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の手法や、プログラミング学習、道徳教育、小学校の英語教科化など、教員志望者は、自分が学んでこなかったことや、手法で教えることが期待されています。

予想のつかない変化の時代に、さまざまな課題に対応できる人材を育てるには、大学入試だけでなく、小中高すべての学校教育に渡る変革が必要です。これからの「教職」は新たな時代の学びを模索するチャレンジングな仕事だといえるのです。

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