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生徒も教員も、みんなが自己実現できる学校に

箕面自由学園中学校・高等学校 校長 田中 良樹 先生

「教員としての原点」を見つめなおして

私が校長として本校に入職して8年。以前は他校で教鞭を取っていましたが、ここへ至るいきさつから得た教育観が、現在の本校のありかたに大きく影響を与えています。

それまで私は、主に進路指導の分野で教員生活を送ってきました。特に最初に勤めた学校は当時、進学校を目指して改革を進めていたとき。私もその責任感は強く持って取り組んできましたし、進学実績も着実に出ていました。

一方で、大学入学後にいわゆる“燃え尽き症候群”に陥る教え子たちをたくさん見てきたのも事実。もちろん、他校を非難するつもりなど毛頭ありませんが、ある日、「これが私のやりたかった『教育』なのだろうか」と思うようになっていったのです。

「わが子を通わせたい」と思える、自分の人生を自分でデザインできる学校を

その後、転職したのは大学附属校でした。そこでは、今でも師と仰ぐ校長(故人)のもとで働くことができましたが、組織人事の問題で再び進路部門を担当することに。「もっと全人的な教育に取り組みたい」と思っていた折に、「校長として迎えたい」と声をかけてくれたのが箕面自由学園だったのです。

しかし、当時の私は箕面自由学園のことをほとんど何も知りません。そんな中、(当時の)理事長にこんなお願いをさせてもらいました。「私の思いを貫かせていただけるのなら、引き受けさせていただきます。」理事長に快諾していただけたので、私も覚悟を決めました。

今思えば、管理職の経験のない私に学校を託してくれたチャレンジ精神も箕面自由学園らしさだったのかもしれません(笑)。何の経験・実績もないのですからね。ただ、私が目指した理想の学校像は実にシンプルなものなのです。「わが子を通わせたいと思える学校を自分の手でつくりたい」。目の前にいる生徒にとって、必要かどうかを判断基準にして、“直球勝負”の教育を実践したい。この思いだけで今までやってきました。

本校の建学の精神は「のびのびと個性を発揮できる、教養高い社会人を育成する」です。私は校長に就任後、自分なりにこれを咀嚼し「自分の人生を自分でデザインする」というビジョンを掲げました。「自分の人生の選択は常に自分にあり、努力を積み重ねて、それをつかみ取る意思・力を育てる学び舎」であることです。また、それは生徒だけに限った話ではありません。教員も同様です。本校に関わるすべての人が熱意をもって「自己実現できる場」でありたいと思っています。

「あなたのこれからが、あなたのこれまでを決める」 佐治晴夫先生

その具体的な代表例が、放課後の「デザインタイム」ではないでしょうか。ひとことで言えば、放課後の時間を「自分の意思でデザインする」ということです。
授業が終わった後、帰宅してゆっくりする、趣味や習い事をするのもいい。学校でクラブ活動に精を出す、自学自習をする、または本校教員による「デザインタイム講座」を受講するのもいい。完全自前の生徒選択型講座です。近年は大学受験対策の特別講座が多いですが、特にそう指示しているわけではありません。教員の趣味を活かした講座や、教員が教員向けに開く講座もあります(笑)。

ただ、これを教員にも生徒にも強制はしていません。学年の教員集団が主体となって行います。目の前にいる生徒のニーズ、今、何が必要かということを議論しながら、形にしていきます。あくまでも主体的な活動ですから、大いに盛り上がっていますし、生徒も教員も着実にスキルアップしています。

また、進路指導部に併設した「キャリアセンター」も本校の特徴でしょう。生徒の夢物語を聞いたり、悩み相談にのったりする場です。もちろん、進路指導も行います。こうしてともに考え、教員も創意工夫し汗を流す姿を生徒たちに見せることを大事にしています。
と言うのも、本校は公立高校受験で夢破れ、モチベーションが下がった状態で入学してくる生徒も少なくないからです。しかし「あなたのこれからが、あなたのこれまでを決める」という言葉があるように、それで腐ってしまうのか、心機一転し、頑張るのかで人生はどうにでも変わります。高校受験の挫折経験も、結局は自分なりの解釈次第なんですよね。

変わりゆく時代に、変わることを恐れない人材よ、来たれ!

だからこそ、「自分の人生を自分でデザインする」学校であることにこだわりたい。実際に本校の教員たちを見ていると、本当に熱意をもって働いていると感じます。

亡くなった(前校の)師は、前任校退職の日に(私に)こんな問いかけをされました。
「生きるために教師をやるのか。教師をやるために生きるのか」。今でも胸に刻んでいる、私の教訓です。教員の働き方改革は重要な課題ですが、同じぐらい仕事の「働きがい改革」も大切です。本来、「働きがい」なんて他人に与えてもらうものではないと思います。一人ひとりが、教員という職に自分なりのやりがいを見つけてほしい。人生をデザインしてほしいのです。
そのため私も日ごろから、教員たちにこう語りかけています。「もし本校がなくなっても、食べていけるか。他校からスカウトしてもらえるか?常に自分を磨くこと忘れない、突き抜けたスキルと熱意を持ったプロ教師集団を目指そう!!」と。

昨日の常識が明日には変わってしまうほど変化の激しい社会において、教員にも学び続ける姿勢が求められます。過去の実績や経験にすがることなく、リスキリングやチャレンジ精神を忘れないで、自分を変えることを恐れない人と共に、理想の教育を目指したいですね。

(このインタビューは2022年9月に行いました。)

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