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「他人に奉仕する力」を育み、「逆転の大商学園」を創ろう

大商学園高等学校 校長 奥野 正巳 先生

創立136年、一貫して変わらない使命を抱いて

学業に注力して難関大の現役合格を目指す『特進Ⅰ類』、クラブ活動をしながら難関大を目指す『特進Ⅱ類』、勉強にもクラブ活動にも全力で取り組む『進学』、ICTスキル向上が魅力の『情報クリエイティブ』、検定取得や英語学習に強みを持つ『商業科』。生徒たちの希望進路に合わせて、他校と比較しても非常に多様なコース(学科)が設置されているのが本校の特徴です。

ただ、教員の姿勢は、コースに関わらず不変です。創立以来136年、「社会に貢献できる人」を育てることで一貫しています。

本校は「奉公や徒弟に出た少年たちに、読み・書き・そろばんを教えたい」という理念から生まれた学校です。つまり原点からして、人材育成を使命としていたと言えます。時代の変化に合わせて、共学化や、大学進学やクラブ活動に力を入れるなどさまざまな改革を行ってきましたが、根底にあるものは決して変わらないのです。

「他人に奉仕する力」を育み、周囲を幸せにできる人になってほしい

ところで、社会に貢献できる人物であるために必要なものとは何でしょうか。高い知識や技術でしょうか。それらももちろん大切ですが、私は、どんなに優れた能力も、前提に“利他の心”があって活きるものだと考えます。学びを単なる自己の利益とするのではなく、身につけた力で世の中を良くしたい、人のために役に立ち誰かを幸せにしたいという気持ちです。本校ではこれを“他人に奉仕する力”と呼んで、何よりも大切にしています。

そのためか、奉仕活動に精を出す生徒が多いです。東日本大震災のボランティア活動でも、豊中市内の高校生の参加者は本校の生徒たちが最も多いんですよ。本当にうれしくて頼もしく感じています。本校の自慢の一つでもありますね(笑)。

学校行事に力を入れ、実感によって「他人に奉仕する力」を育てる

もちろん、他人に奉仕する力は言って聞かせるだけで育つものではないと思います。やはり実体験を通した学びに敵うものはありません。そこで本校が力を入れているのが学校行事です。

たとえば『体育祭』は生徒主体で作り上げ、学年を超えた縦割りの“団”で競い合います。『文化祭』では、クラス単位で舞台や展示、模擬店に挑戦しますが、それぞれのジャンルに投票による賞が設けられています。こうしたなかで、他者への貢献や協働で得る喜びを学んでいくのです。
また、4年前から取り組んでいる『ミュージック・アウトリーチ』(※)も素晴らしいですよ。一つの学年、約400人が一緒にショーを作り上げるのですが、フィナーレでは感極まり、抱き合って号泣する生徒が続出します。それを見て、教員や保護者も目頭を熱くするのです。生徒たちからは「(こんな経験ができる)大商学園に来て良かった!」という声が多数聞かれます。

やはり、高校時代の感動って一生ものだと思うんです。勉強も大切ですが、そればかりじゃつまらないじゃないですか。学校行事全体を通してさまざまな経験をして、人のために役立つ力を身につけられる、そんな学び舎でありたいですね。

(※)……アメリカのNPO団体「HEART Global」が推進する教育プログラム。子どもたちが歌やダンスなどのパフォーマンスを通して協力し、一つのステージを作り上げる3日間のワークショップ。

何よりも生徒を最優先。ただし、教員の労働環境はきちんと整備

本校が目指す教員の資質は、生徒から尊敬され、感謝される人であること。

次に、向上心があること。まず何より授業が一番ですから、生徒による授業評価アンケートを実施。公開授業も行って他の教員の授業を見学・相互研究するなどの改善に余念がありません。自分の授業を常により良いものにしようと考えて、ブラッシュアップを続けてほしいですね。

さらに、生徒に寄り添える教員であること。一つの物差しで生徒を判断してはいけません。教員たるもの、生徒の欠点ではなく、良いところを見つけられなければダメだと思います。本校では過去に、大学入試で必要な教科対策が足りていなかった生徒に数カ月つきっきりでマンツーマンのサポートをした教員や、親子げんかで家を飛び出してしまった生徒を探し歩いた教員もいます。

これは、休みやプライベートを犠牲にして働くことが美徳と言っているのではありません。それくらいの愛情を持ってほしいということです。もちろん、本校としても労働時間や休日の制度はきちんと整備し、決して無償奉仕にならないようにしています。

最後に、チームワーク。自分の授業さえ、自分のクラスさえうまくいけばいいと考えるのではなく、学年や学校全体を良くしたいという視点をもって勤務してほしいですね。

ここは「逆転の大商学園」だ!

そのような本校の教育活動を経て得られる教職の喜びは、やはり生徒たちの人格形成に深く関われること。

本校では、公立高校の受験で一歩及ばず、併願校として入学してくる生徒たちも少なくありません。だからこそ私は彼らにこう語りかけるのです。「ここで生まれ変わろう!ここは『逆転の大商学園』だ!」と。たとえば、中学までは勉強が好きではなかったのに、本校で学ぶ楽しさに気付き、類人猿の研究がしたくて京大に進んだ生徒もいます。

これらはつまり教員の「他人に奉仕する力」に他なりません。だからこそ生徒の「他人に奉仕する力」も伸びるのだと信じています。ぜひ、本校で生徒と一緒に成長しませんか。

(このインタビューは2023年11月に行いました。)

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