生徒たちが自慢したくなる学校をつくる
私は東葉高校の改革を託され、校長を引き受けました。校長になって3年間、東葉高校をただの進学校にすることを目標とせず、他校がやっていない、ワクワクする学校にしていくことに力を注いできました。2018年まで千葉大学教職大学院でスクールマネジメントについて学び、「東葉高校の学校改革」を修士論文のテーマとしたので、5年分の設計図はできています。授業改革を軸にして、学校行事、部活動などが機能的に連動し、ミドルリーダーが活躍できるようなカリキュラムマネジメントに取り組んでいます。
学校改革の根本を「すべての生徒が自己肯定感を持てる」ことだと考えています。生徒が自分の学校に誇りを持ち、他校の生徒に自分の学校を自慢できることが多いほどその生徒にとって良い学校だと思います。そこで、誰もが喜ぶ企画として夏の特別講座に、よしもとのお笑い芸人を呼んでいます。1年目は和牛・横澤夏子、2年目はトレンディ・ガンバレルーヤ、3年目はコロチキ・ミキが来てくれました。秋の文化祭にはフィットネストレーナーのAYAさん、冬の特別講座では東進ハイスクールの安河内先生が英語4技能についての講演をしてくれました。保護者も参加でき、家族の話題にもなりますから、生徒・保護者の口コミで地元の受験生にもワクワクする学校として話題になっています。
校長自ら企画して引率する「この指とーまれ」行事も、生徒からの人気があります。ホタル観賞、千葉ジェッツ観戦、市議会議場見学、コーヒーバリスタ、車両基地見学、クリスマスツリー点灯式など内容は多岐にわたります。先生方には引率の負担はかけませんし、生徒も希望者のみの参加ですので、意識も高く楽しい行事になっています。
教員がチームとなってより良い学校つくりを推進
校長になってから2年目には、特進クラスも新設し、偏差値も大幅に上昇し、入学希望者が増加して教室が足りないほどの学校に変身しています。また、生徒の数が増えたので、どのクラブも部員が増え、優秀な顧問やコーチを招いているため、周りの学校から「東葉高校、急に強くなったね」と言われています。特にダンスドリル部は全国優勝するほど実力を上げています。
今まで以上に期待されるようになって、授業の質の向上、行事の見直し、クラブ活動の充実など、教育のすべての分野においてPDCAサイクルの下でさらに変えていかなければなりません。これからは、教員一人の力に頼るのではなく、組織で取り組むことを大切に考えています。学校を船に例えると、校長は東葉丸の船長であり、乗組員の教員全員に同じベクトルで船をこぐように指示し、チームの力で新ステージを目指して行きます。
「生徒を満足させる授業」のための研鑽ができる人材
私が東葉高校の教員として採用したい人物は次のような人です。
何よりも大切なのは、「生徒を満足させる授業」ができることです。1クラスには性格も違えば学力レベルも違う40人の生徒がいます。興味・関心の異なる生徒全員を満足させる授業を行うことは容易ではありません。
もちろん、全ての教員が初めから「生徒を満足させる授業」ができるほどの能力を持っているわけではありません。特に若手の教員は、授業準備にたっぷりと時間をかけ、ICTやALのスキル、板書、話術などを磨くことに注力してほしいと思います。それができれば、他の業務はそれ程気を遣わなくても自ずと身に付いていきます。
「生徒を満足させる授業」ができるベテランの教員には、生活指導と進路指導の達人になることも目指して欲しいと思います。自らの人生経験も生かして、生徒の人生の羅針盤となり、生徒に生き方を教え、生徒を社会人として自立させることができる人、生徒がそれぞれの道を模索するときに的確なアドバイスができる人が必要です。
生徒・保護者そして教員同士においても、良い距離感、つまり円滑な人間関係を築いていくことも大切です。人間関係の基本である「報連相」(報告・連絡・相談)がきちんとできることを求めます。
教員という仕事のやりがいと学校づくりの醍醐味を味わえる職場
教員の仕事は生徒と自立成長を共にすることができる、やりがいのある職業です。私自身も、生徒の苦労や喜びを分かち合って一緒に成長してきた経験があります。世話がやける生徒ほどかわいいもので、かつての教え子が立派に成長して、大人になってからお酒を酌み交わし、語り合うことができるのは教員の醍醐味だと思います。
最後になりますが、東葉高校は改革の真っただ中の発展途上の学校です。まだまだ新しい取り組みにチャレンジしていく必要があります。年々生徒のレベルも上がってきて、活気が出てきています。今までにないステージを生徒と共に駆け上がっていくことができるやりがいのある職場といえるでしょう。
(このインタビューは2020年05月に行いました。)