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ICT支援員:どんな仕事?資格・将来性は?

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2021/02/05
ICT支援員の採用情報

文部科学省や各教育委員会は今、ICT(情報通信技術)を活用した教育の情報化を急ピッチで進めています。その中で不可欠なのがICT支援員です。ICT機器を活用した授業、また、先生たちの業務効率化などを支援する仕事で、今後採用や活躍の場が広がることが見込まれます。

ICT支援員とは ー 文部科学省 が推進する新しい教育の仕事

次の世代を担う子ども達に、情報活用能力はすべての学習の基盤となる資質・能力です。こうした力を伸ばしていくために学校や教育委員会が採用するのが「ICT支援員」と呼ばれる専門スタッフです。文部科学省は2022年までに全国の小中学校の4校に1人配置することを目標にしています。

ICT支援員の業務内容

日常的な先生のICT活用の支援を行います。代表的な仕事は次のようなものです。

・授業で使うICT機器の準備
・先生や児童生徒のICT機器の操作のサポート
・授業で使うソフトやアプリの操作指導
・授業づくり、教材作成のサポート
・ICT機器・環境のメンテナンスのサポート
・先生のICT活用研修

なぜICT支援員が必要なのか

学校の先生は多忙です。ICT活用を促進するには、先生自身が研修を重ねることも大切ですが、機器の設置準備など、ICT導入に伴う新たな仕事をサポートするスタッフが必要です。

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンライン授業やパソコン、タブレット端末を使った授業のニーズが高まりました。国は当初の計画「GIGAスクール構想」を前倒しして、2020年度中には全国の小中学校で1人1台の端末と、高速ネットワークを整備することにしています。今年度中に小中学校で1人1台の端末が整備されれば、2021年度からコンピューターを活用した授業はまったなしなのです。

新学習指導要領では情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」位置付けていて、子ども達が、コンピューターをノートや鉛筆と同じ「文房具」のように使いこなせるように、指導することを求めています。プログラミング学習や「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)、探究的な学習を実現するためにも、ICT支援員の力は今後、学校には欠かせません。

ICT支援員の採用・勤務形態・給料

ICT支援員の採用は大きく分けて2つあります。
1)自治体や学校が直接採用する。
公立学校の場合は設置者である自治体(教育委員会)が採用します。私立学校の場合は運営者である学校法人が採用します。

2)自治体が契約をした「委託業者」が採用する。
この場合、ICT支援員は委託業者に登録をし、自治体(教育委員会)に配置される形を取ります。

雇用形態や呼称 はさまざま

ICT支援員の勤務形態はさまざまです。自治体や学校ごとにICT支援員に求める業務が異なるからです。呼び方も「ICTサポ―ター」「情報支援員」など決まっていません。公立学校の場合は、地域のいくつかの学校を担当して巡回するケースが多いようです。教育委員会の事務所に常駐し、学校からの問い合わせに応じるサポートデスクのような形をとることも。もちろん1校に常駐して勤務するケースもあります。私立学校では1つの学校に常駐する場合がほとんどです。

雇用形態はフルタイムからパートタイムまでさまざまです。また、給与も時給制から月給制まで多様なパターンがあります。地域や勤務スタイルにもよりますが、時給は1350円~1800円、月収で20万円~27万円といったところでしょうか。現段階では、直接雇用・フルタイムで定年まで働く「無期雇用」を前提とした正職員としての採用は多くありませんので、ボーナスや昇級は基本的にはないと考えたほうが良いでしょう。ただし、今後業務内容が高度化すればプロフェッショナルが多く求められていく可能性があります。そうなると、雇用形態や待遇も変化するかも知れません。

仕事内容は明確に決まっている

また、ICT支援員は契約した業務のみを担当しますので、教科の内容を教える、生活指導や部活動の顧問をするといった、契約以外の校務の分担をすることは原則的にありません。自治体のICT支援員の場合は、学校の業務時間内の勤務ですし、基本的には土日は休みです。私立学校の場合も契約通りの勤務時間になります。働く時間をコントロールして、自分のために使える時間を確保したい、という人に適した仕事と言えるでしょう。

ICT支援員になるには

ICT支援員の仕事は、学校の先生や子ども達のサポートです。授業を直接担当しないので、教員免許は必要ありません。「教員免許はないけれども、教育の仕事をしたい」と希望する人もICT支援員になれます。

ICTに関する知識や技術は、ネットワークの構築や保守、端末や機器の納品・工事に関わる対応などまでは求めていない場合がほとんどです。むしろ次のような、日常的な操作を確実にできることが必要となります。

・基本的なコンピューターやタブレット(Windows、iOS)の操作
・導入しているソフトやブラウザなどの使い方
・Wi-Fiやプロジェクタ、プリンタ、ビデオカメラなど周辺機器との接続
・ビデオ通話会議システム(ZoomやGoogleMeetなど)の操作

知識やスキルも大切ですが、最も必要とされるのは、教職員の要望をくみ取って、解決方法ややり方を考え、分かりやすく伝える「コミュニケーション能力」です。「日常の仕事ぐらい、パソコンでできるでしょう」と思うかもしれませんが、学校にはICTが得意な先生もいれば、苦手な先生もいます。また、採用した自治体や学校法人の職員も、ICTは勉強中という人もいますから、納入や保守を担当する業者との間に立ってコミュニケーションをすることもあるかもしれません。スクールカウンセラーや学校司書のように、授業以外の専門的な仕事をするスタッフも学校では「先生」と呼ばれますから、清潔感のある身だしなみや、丁寧な言葉づかいも求められます。

ICT支援員に役立つ資格・認定試験

ICT支援員は、特定の資格や免許を取得していなければ携わることができない「業務独占資格」ではありません。ですから、ICTを活用できる力やコミュニケーション能力があれば、年齢や経験に関係なく、幅広く採用されるチャンスがあります。

ただし、採用側も、より能力のある人を求めていますから、IT系の資格を持っていることは不利にはならないでしょう。ICT支援員に関連した資格としては、情報ネットワーク教育活用研究協議会が2013年から実施している「ICT支援員認定試験」があります。また、国家試験である情報処理技術者試験の「ITパスポート試験」「情報セキュリティマネジメント試験」「基本情報技術者試験」や、IT系企業やメーカーが独自に行うベンダー資格もあります。ICT支援員の採用に応募するときに、自分をアピールする資格を持っていることは有利に働く場合が多いといえます。

まとめ ー ICT支援員のやりがい

ICT支援員はこれからどの学校でも必要になってきます。現場で困っていることを解決し、先生や子ども達から「ありがとう」「さすがですね」と喜ばれる、やりがいのある仕事です。AI(人工知能)が進歩する現代にあって、ICTスキルは、学校の勉強だけでなく、社会人になっても必要です。デジタル活用力を創造的な仕事につなげられる人材育成は日本社会全体の課題でもあります。ICT支援員は、自分の持つICTのスキルを活かしながら、次世代の育成に貢献できる有意義な仕事と言えるでしょう。

■この記事を書いた人
この記事を書いた人:長尾康子
長尾康子
東京都出身。1995年中央大学文学研究科修了。
大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、
2001年よりフリー。教員向け雑誌等を中心に取材・執筆をおこなっている。

■担当者からのメッセージ

イー・スタッフ 星野
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