以前から4科型(国算理社)・3科型(国算 理or社)・2科型(国算)などの教科型を中心に行われてきた中学入試ですが、近年、新タイプの入試を実施する学校が増えてきています。入試問題はいわば、学校が求める生徒像や次代に向けた教育方針を反映しているもの。皆さんの就職・転職における学校選び、教員としてのキャリアアップの観点からも着目すべきポイントです。ここでは近年増加している”7つのタイプ”の入試についてご紹介します。
次代を切り拓く力を重視した入試「適性検査型」「総合型・合科型」「思考力型」
●適性検査型
これからの社会で求められる力に着目した入試として、3つのタイプが挙げられます。1つは「適性検査型」。資料から読み取った情報を論理的に考察して答える問題、教科の枠を越えた問題などを中心に構成される傾向にあり、導入の経緯としては、「思考力・判断力・表現力のある受験生を受け入れたい」という思いがあります。
●総合型・合科型
2つめは「総合型・合科型」と呼ばれるもの。「自分で考えて行動できる子どもを受け入れたい」「思考力と行動力を磨いてほしい」と導入した学校が多く、複数科目の要素が入った問題、自分の考えを述べる問題、資料を分析してまとめる力を問う問題などが見られるのが特徴です。
●思考力型
3つめは、「思考力型」です。情報を整理して考察することで課題を発見し、解決方法を導き出すところまで求められるというのが特徴。思考力・判断力・表現力を発揮できるユニークな資質や能力を持つ受験生を受け入れるべく、一般入試とは異なる視点で評価することなどを目的に実施されています。中には、「文系・理系を問わず、社会的課題の解決に向けて考え、分析していく力が求められているから」という目的もあるようです。
得意科目で勝負できる「英語入試」「1教科入試」
●英語入試
得意科目を活かせる入試のうち、学校の“グローバル化”に対する意識の高さをうかがわせるのが、「英語入試」。英語だけで受験できる英語1教科入試のほか、英語に加えて国語または算数の2教科で受験するもの、複数の選択肢から英語が選べるものがあります。出題レベルは英検5級~2級相当までと幅広いものの、ボリュームゾーンは4級~3級相当。導入の背景としては、学習指導要領の改訂による小学校での英語必修化が大きいと考えられます。「国際社会で活躍するためには英語は必須」という学校の考えが示されています。
●1教科入試
一方、「得意分野を活かして挑戦してほしい」という強い思いから導入されているのが、「1教科入試」です。算数1教科入試のように受験できる教科が定められているケース、複数の教科から選べるケースがあるほか、面接やプレゼンテーション、作文などを課す学校もあります。算数1教科入試については、「理数能力を伸ばす学びに注力したい」という学校が多いでしょう。
表現力、協働力を評価する「自己アピール型」「アクティブ・ラーニング型」
●プレゼンテーション型・自己アピール型
“伝える力”や“協働する力”を見る入試は、大きく2つに分けられます。そのうち、「自分の言葉でアピールする力や発想力など、一人ひとりの豊かな個性や素質を評価したい」との思いから導入されているのが、「プレゼンテーション型・自己アピール型」。小学校時代の活動について発表するものや、与えられたテーマについて考えを述べるもののほか、英語によるプレゼンテーションが課されるものもあります。「授業でプレゼンが多いから」「得意な分野を伸ばすことで自己肯定感を育み、苦手分野を克服する力につなげたい」というのが導入の理由です。
●協働・アクティブ・ラーニング型
「協働・アクティブ・ラーニング型」は、「授業でグループ学習とプレゼンの機会が多いため」「協働し、深く考えることができる生徒、議論を通じて多様性を認められる生徒、批評する力を持っている生徒を受け入れたい」といった理由から導入されているもの。入試当日に受けた講義に関する問題を解く試験や、アクティブ・ラーニング型の授業に臨んだ後に振り返りと発表をする試験など、さまざまな形で行われています。
入試は、心から共感できる学校、教育者として力を発揮できる学校を見極めるバロメーター
これまでの中学受験とは一線を画した問題も散見される新タイプ入試。実施校は年々増加しており、「入試の多様化」と呼ばれる現象が起こっています。高大接続教育改革(大学入学者選抜改革)や新学習指導要領の根底をなす「これからの社会で求められる多彩な力の育成」に対する、学校の方針・姿勢・思いを色濃く反映したものと言えるでしょう。
つまり入試を見れば、その学校が目指す教育はもちろん、その実践のために求めている人材像も読み取ることができるということ。自分が働きたいと思える学校、力を発揮できる学校を見つける上でも、面接で効果的なアピールをする上でもプラスとなります。
またその際、学校とのつながりが深いエージェントのサポートを得るのも1つの方法です。
入試などの観点に専門エージェントの持つ知見が加わることで、納得のいく就職・転職を叶えることができるはずです。