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コラム

「学校事務職員になりたい!」採用試験を受験するポイントは?志望動機・やりがい・求められる人物像

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2021/10/15

人気職種の一つである「学校事務職員」。
ただ漠然と「なりたい」とは思っていても、「業務内容についてはあまり知らない」という方も多いのではないでしょうか。今回は、京都文教大学の事務職員を経て、2021年度より同じ学園内の京都文教中学校・高等学校の事務長に就任された村山 孝道さんに、学校事務の業務内容や求める人材像についてうかがいました。


京都文教中学校・高等学校
事務長
村山 孝道さん

少数精鋭で幅広い業務に携わる中高の事務職員

本校では仏教精神に基づき、「三宝帰依」の校訓のもと、すべてのものの“いのち”を大切にし、「逞しさ・明るさ・優しさ・楽しさ」が実現できる教育を実践することにより、社会で活躍できる知・徳・体の調和のとれた人間の育成をめざしています。

母体となる京都文教学園は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・短期大学・大学・大学院を設置する総合学園です。私は京都文教大学に入職後、教務畑を歩み、近年は学長企画部教学企画課の課長として教学改革を推進しながら、大学職員の育成にも携わっていました。人事異動により、2021年春より京都文教中学校・高等学校の事務長を務めています。こうした異動は決してめずらしいことではなく、本校の16名の事務職員のうち10名が、学園内の異動を経験しています。

本校の事務部門には、「総務」「経理」、ICTの導入などに携わる「情報処理」、「入試対策」「図書」という5つの係が設置されています。教員の校務分掌としては「教務」「進路」「入試対策」「生徒指導」の4つがあり、大学と比べると教員が実務を担っている領域は広いものの、学校職員も入口から出口まで、卒業生・保護者・教員・地域への対応など、対生徒以外の幅広い業務を少数精鋭で進めています。

“なんでも屋さん”のような柔軟性がマスト 志望動機によってはミスマッチの可能性も

まず、求められる人材像について語る前に、学校職員を目指している方に知っておいてほしいことがあります。それは、大学職員と中高の事務職員では、教育の領域にタッチするか否かという点において大きく異なるということです。

大学では対学生の最前線に職員がいるケースが多く見られますが、本校では、対生徒の業務はほぼすべて教員が担っています。また学校によっては、教員と接する機会も少ないのではないでしょうか。「教員にはならなかったけど、職員として教育に関わりたい」といった思いで学校の事務職員を志望する場合、抱いているイメージによってはミスマッチが生じる可能性があります。学校事務職員を、教員に代わる選択肢とすることはおすすめしません。

世界的にみても、日本の教員は校務を含むさまざまな業務を担い、多忙を極めています。しかし、少子化により今後ますます厳しい状況に置かれることになるであろう私学においては、教員に教育改善や学校の個性化創出に専念してもらえるような環境づくりが必要ではないかと考えています。そうした中で中高の事務職員に求められるのは、第一に柔軟性。現状においてすでに業務は幅広く少数精鋭、つまり一人ひとりの裁量は広く、責任は重いですし、突発的に発生する業務も少なくありません。新型コロナウイルス感染症対策もその一つ。今現在の業務の特性からも、“なんでも屋さん”的な資質の有無は重要だと感じています。

私は赴任して間もないため、事務職員としてのやりがいについて、同僚たちに感じていることを聞いたところ、「就学支援金などの政策は変革期にあり、他校と情報共有しながら仕組みを作り上げていくのが面白い」や、中には「学校と一緒に年を重ねている感じがする。宝くじが当たったら施設の修繕費として寄付したい!」といった声も聞かれました(笑)。年を重ねると愛着が深まり、ファミリーのような感覚が芽生えていることがうかがえます。

存続・発展の一端を担う存在となれるよう専門性を磨く気概を持ってほしい

今後、少子化に伴い生徒数は減っていきますが、学校の維持に欠かせない光熱水費一つとっても、支出が大きく減少するということはありません。支出は同等レベルのまま収入だけが減少することは容易に想像できます。

そうした中で他校との差別化を図り、選ばれ愛される学校となるためには、学校事務職員も変わらなくてはなりません。教員が指示したことを正確に、上手く処理するだけではなく、仕組みづくりの一端を担い、学校を持続的に存続させること、さらに発展させることに貢献できるような存在になるべきだと考えます。その実現に向けた第一歩として、本校の事務室では、業務の効率化・見える化を進めているところです。また新たな試みとして、『SNSチーム』『ファシリティー・マネジメント・チーム』なども立ち上げました。

また、教員と職員が両輪となって機能するためには、組織としての改革に加えて、事務職員一人ひとりが専門性を有することが不可欠です。教育や業務に関する専門知識を養い、中長期的な視野と主体的に働きかける姿勢をもって取り組むことができれば、教員にとって有益な情報を提供できる、頼れる存在になることができるのではないでしょうか。

これから、学校事務職員を目指す方は、一般常識やPCスキルに加えて、国内外の教育の歴史・政策に関する知識、領域横断的な知識を身につけておくことをおすすめします。そして入職後はぜひ、専門性を追求してほしい。社会人の方は、前職で培った強みを発揮し、磨いてください。
私は、客観的な仕事というのは存在せず、仕事は個々の従業員によって再創造され、作り出されているという見方をもっています。
同じ仕事でも、人によって受け止め方、やり方、生み出される結果は様々です。仕事の本質、背景にあるミッションを理解し、あの手この手で工夫し、関わる他者との関係性を促進する中で、成果が高まります。そこが「仕事」というものの面白さではないでしょうか。

事務室を外から覗くと、一見淡々として楽そうに見えるかもしれません。しかし中長期的な課題は山積し、学校の存続・発展に向けて、両輪の一つとして機能できるようになるための課題も山積しているのが現状。それでもこの業界に「チャレンジしたい」という、気概あふれる人材を待っています。

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