教員免許状についての素朴なギモン : 正式名称・紛失したら・氏名変更
教員になるために必要な「教員免許状」。大学や短大で教職課程を履修している方や、既卒者から次のような質問がよく寄せられます。
・履歴書に書く場合の正式名称は?
・教員免許状を紛失してしまったらどうする?
・結婚などで苗字が変わったら手続きは必要?
確かに、すぐに聞かれても答えられない、意外と知らないことではないでしょうか。そんな「教員免許状のギモン」を解説していきます。正しい情報を得て採用試験対策や就職活動をスタートさせましょう。
履歴書に書く場合の正式名称は?
「教員免許状」を履歴書に書くときには、「校種(学校の種類)」「職種」「区分」「科目」の順に書いていきます。そもそも「校種」「区分」って何? という人も多いかもしれません。1つずつ解説していきます。
「校種」とは学校の種類です。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などを指します。
「職種」は「教諭」のほかに「養護教諭」「栄養教諭」などがあります。授業を教えるいわゆる「学校の先生」は「教諭」にあたります。
「区分」は普通免許状の場合は3つとなり、短大卒業程度の二種免許状、大学学部卒業程度の一種免許状と、大学院修士課程修了程度の専修免許状があります。
大学に在籍している方は、教員免許をまだ取得していなくても「取得見込み」として教員採用試験を受けられるので「取得見込み」と加えます。既卒者で取得済みの場合は「取得」と書きます。
具体的には次のようになります。
例)中学・高校の場合
20○○年○月 高等学校校教諭一種免許状(数学)取得見込み
例)小学校・幼稚園の場合は「科目」は不要
20○○年○月 小学校教諭一種免許状 取得見込み
例)養護教諭の場合「校種」「区分」はなし。
20○○年○月 養護教諭一種免許状 取得見込み
これらの教員免許は「普通免許状」といいます。このほかに、教員免許状には優れた知識と経験を有する社会人に与えられる「特別免許状」や、採用者が足りないときに授与される「臨時免許状」もあります。この三種を合わせて「教育職員免許状(教員免許状)」と呼びます。
通常、教員免許状といった場合には「普通免許状」を指しますから「普通免許状」まで履歴書に書く必要はありません。
自分が取得した免許状について、履歴書に正しく記入できることはもちろんですが、面接などでたずねられても口頭ですっと答えられるように日ごろから準備しておきたいものです。
教員免許状を紛失してしまったらどうする?
万が一、教員免許状を紛失してしまった場合は「再交付」が可能な場合と、そうでない場合があります。
火災や盗難等で紛失したことの公的な証明書があれば、原本の「再交付」ができますが、自宅で紛失した場合は、原本の再交付はできません。その代わり、都道府県に「授与証明書」の発行を申請します。「授与証明書」は免許状の原本と同じ効力を持つ証明書になりますから、必要に応じて使います。授与証明書は電子申請ができますので、遠方でも大丈夫です。
学位と教職課程等の単位修得をし、大学卒業と同時に都道府県から授与される教員免許状は、学校の教員になる資格があることを証明する重要な書類です。いざ必要になったときに「どこにしまっておいたっけ……」と慌てないためにも保管・管理はしっかりしておきましょう。
結婚などで苗字が変わったら手続きは必要?
教員免許状は旧姓のままでも有効なので、変更しなくても効力が失われるわけではありません。また変更は「義務」ではありません。ただし、免許状の氏名と現在の氏名が違うと、採用時や免許更新時などに戸籍抄本などの書類の提出を求められることがあります。
免許状を新しい氏名にしたい場合は「書換」という手続きをおこなうことで変更できます。免許状が授与された都道府県の教育委員会に、免許状の原本や必要書類とともに申請します。新たな免許状の発行には時間がかかることもあるので、教育委員会のホームページを見たり、実際に問い合わせるなどして正しい手続きの情報を得ることが必要です。
教員免許に関することは、都道府県の教育委員会ホームページで詳しく説明されていることがほとんどです。疑問に思ったら、免許状が授与される予定の都道府県教育委員会のホームページをまずチェックしてみましょう。
■この記事を書いた人
長尾康子
東京都出身。1995年中央大学文学研究科修了。
大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、
2001年よりフリー。教員向け雑誌等を中心に取材・執筆をおこなっている。
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