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やらないほうがいい?ー 教員・学校とSNS

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2022/01/07
学校とそれをとりまくSNS

TwitterやInstagram、 LINEなどのSNSはスマホを使う人にとって便利なツールのひとつ。でも、教員という仕事をするうえで、どう付き合っていいか迷う人も多いでしょう。結論から言うと「SNSの使い方に自信がない人は慎重に」ということになります。生徒とのやりとりや、個人で行う場合、業務として発信する場合に分けて、教員とSNSの関係について考えてみます。

1. 生徒と私的なやりとりは「禁止」
2.    業務として発信するならデジタルリテラシーは必須
3.    プライベートな投稿も書き込み内容に注意

1.  生徒と私的なやりとりは「禁止」

文部科学省は2020年4月に、教員がSNSや電子メールで生徒と私的なやりとりを禁止する通知を、全国の都道府県教育委員会あてに出しました。その理由は、わいせつ行為によって教員が処分される事案が増えていることにあります。2019年度にわいせつ行為等で懲戒処分等を受けた教員は全国で273人。過去最多だった2018年度に次いで2番目の多さとなりました。

その中で教員と児童生徒との間でSNSやメールを用いた私的なやりとりが行われていた事案もあったのです。そこで、通知では教育委員会が各学校に、私的なやりとりの禁止の明確化や、業務上の適切な連絡方法をルール化するよう求めています。現に、公立学校ではSNSで生徒と私的なやりとりをしたとして教員の懲戒処分も行われています。

私立学校は設置者が自治体ではなく学校法人となりますから、こうしたルールづくりは学校に任されています。また、違反した際は各法人の定める就業規則にのっとって処分が行われます。公立学校での基準が厳格化される中、「私立学校だと処分が穏便に済まされてしまうケースがあるのでは」という厳しい目が世間から注がれていることも確かです。私立学校であっても、生徒との私的なやりとりは避けるべきでしょう。

2.  業務として発信するならデジタルリテラシーは必須

ただしこれは、すべてのSNSにおいて教員は使用禁止、という意味ではありません。SNSやメールは生徒や保護者に向けた学校安全情報の発信や、授業や行事、部活動の公式な連絡、受験生向けの情報発信、広報活動など、学校の魅力向上や運営に欠かせないツールとなりつつあるからです。もちろん、教員の業務として行うものであれば、適正に行う必要があります。

また、社会とつながった教育活動を行ううえで生徒自身が積極的にSNSを使う場面もこれからは増えてくるでしょう。SNSや他のデジタルツールを上手に運用してこそ教育活動が活性化し、生徒の将来の可能性を拓き、受験生や生徒を増やすことにつながります。

教員歴が浅くても「若い世代ほどデジタルは得意」といったイメージから、SNSでの発信やブログ管理を分担するように言われることがあるかもしれません。その場合は、自分の経験だけに基づいて判断するのではなく、運用上の留意点を、他の担当の先生がたや学校と契約している運用業者、独自に採用しているICT支援員などと確認し、連携を取りながら進めていきましょう。SNSの活用力や影響力とともに、そのリスクも併せて学べる研修に参加するのもおすすめです。生徒のSNS利用ルールを定めている学校は多いと思いますが、生徒や家庭のプライベートな情報を扱うことの多い教職員のSNS利用ルールも同時に見直されるべきでしょう。

3.    プライベートな投稿も書き込み内容に注意

では、教員が業務としてではなく個人で使う場合はどうでしょうか。教員だからと言ってSNSが全面的に禁止される理由には、あてはまらないように思えます。

文部科学省がTwitterで教員の魅力を発信する「#教師のバトン」プロジェクトを推進したことを見ても、教員がSNSを使うことを国も否定しているわけではありません。ただし、教師のバトンプロジェクトが、教員のリアルな声が集中して炎上してしまったように、SNS使用には意図に沿った結果とならないというリスクもあります。また、投稿内容によっては職務上の秘密や個人情報の漏洩、著作権の侵害などの違法行為につながってしまう危険性も少なくないのです。

個人だから、本名を公開しない「匿名」だからといって、何でも書き込んでいいとは限らないのは、教員のみならず誰もが同じことでしょう。ネット上では誹謗中傷問題が深刻化しています。たとえ匿名でも、技術的には投稿の発信者を特定することは可能です。プライベートな投稿であってもSNSを使うすべての人に求められるモラルを守りつつ、適正な運用を心掛けたいものです。

 

■この記事を書いた人
この記事を書いた人:長尾康子
長尾康子
東京都出身。1995年中央大学文学研究科修了。
大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、
2001年よりフリー。教員向け雑誌等を中心に取材・執筆をおこなっている。

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