家庭科の教員になるために知っておくべきこと~2022年新学習指導要領~
高校の新学習指導要領で注目を集めた家庭科。その改訂のポイントは、たびたび新聞等でも取り上げられており、家庭科の教員をめざす方はぜひ押さえておきたいところです。必要な免許、高倍率とされる理由、新たに必要となる知識など、家庭科教員になるために知っておきたい内容をまとめました。
家庭科の先生に必要な免許は? 通信制大学でも取得可能か
取得しておくべき免許は、中学・高校の家庭です。
教育学部のほか、家政学・生活科学・服飾学・栄養学などを扱う学部・学科で取得することが可能です。
通信課程を設置している大学もあり、大学卒業後に取得することもできます。文部科学省のホームページに、通信課程も含め、家庭科の免許を取得することのできる大学・学部等の一覧が掲載されているので、ご参照ください。
●通信制大学での取得方法について
●文部科学省ホームページ
中学校・高等学校教員(家庭)の免許資格を取得することができる大学
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/daigaku/detail/1287064.htm
(令和3年4月1日現在)
家庭科の先生になるのは難関? “倍率が高い”と言われる理由は?
家庭科の専任教諭や常勤講師が高倍率と言われる理由は、他教科に比べて募集件数自体が少ないことにあります。コマ数が少なく、そもそもフルタイムで働く教員数が少ないぶん、定年等の退職者が出るケースも少なくなるのです。
ただし、実は募集が少なめなので、他教科に比べると志望者数も少なめ。そういう意味で、倍率はあまり気にすることはないかもしれません。
定年退職者の後任者を探す学校が重視する点としてよく聞かれるのは、「できるだけ長く勤務してくれること」です。その観点から、新卒や未経験者の採用に対して前向きなケースもよく耳にします。そのチャンスを逃さず、応募者の中でも“選ばれる存在”となれるよう、高い意欲を持って専門性を磨きましょう。
また、授業の単位数が少ない家庭科は、「非常勤講師として働きたい」という方にぴったりの教科でもあります。授業を2コマ連続、つまり週1ペースで実施しているケースが多いためか、同じ日に授業を固めやすく、学校の規模にもよりますが、週1日以内、週2日以内の勤務の募集もめずらしくはありません。
兼業を考えている方、育児などプライベートとのバランスを大切にしたい方なども、無理なく働くことが可能です。成り行きではなく、確実に週1日、週2日の勤務になるように就活をしたいという方は、エージェントの活用がおすすめです。応募する方の要望を踏まえてマッチングが可能となり、効率よく就職活動を進められます。
学習指導要領の改訂のポイント、家庭基礎・家庭総合の2科目
新学習指導要領の実施に伴い高校の家庭科は、従来の「家庭基礎」「家庭総合」「生活デザイン」の3科目を再構成し、「家庭基礎」「家庭総合」の2科目になりました。その中でメディアも注目した改訂のポイントは、「資産形成の視点にも触れる」ことが明記された点です。生涯を見通した経済計画を立てられるように導くことを目的とし、株式・債券・投資信託といった金融商品の特徴を学ぶことになったのです。
背景としては、選挙権年齢および成年年齢が18歳に引き下げられたことにより、高校在学中に成人を迎える生徒にとって、政治や社会がより身近なものとなったこと、保護者の同意なく契約行為ができるようになった(未成年者として契約取り消しができない)ことなどが挙げられます。生活を主体的に営むために必要な理解と技能を身につけ,自立した生活者として必要な実践力を育成することを、より重視した内容となっています。家庭科教諭には今後、その意識を持って授業を展開していくことが求められます。
「金融商品なんてわからない・・・」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、現役の教員もこれから勉強することになるため、サポートも充実しています。金融庁のホームページでは、中学生・高校生向けの教材や、教員向けに解説動画などが紹介されているので、ご参照ください。
●金融庁ホームページ
中学生・高校生のみなさんへ
先生・保護者・教育関係のみなさんへ
https://www.fsa.go.jp/teach/chuukousei.html
生徒にとって身近なものとなった社会は、“予測困難な社会”と言われます。その中での一人ひとりの人生もまた、同様でしょう。人生の通過点である大学受験においては関係ない教科ではあるものの、その先にある予測困難な社会を生きていく上で不可欠な知識・意識・姿勢を身につけるという点において、従来以上に、家庭科の重要性は高まっていると言えるでしょう。
未経験であっても、金融系の企業での経験、家庭における家計や資産形成に関する経験を活かすことが可能となり、転職・復帰の良い機会と捉えることもできます。高い意欲をお持ちの方、やりがいを重視される方には、その思いを強みに、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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