押えておきたいポイントは「休眠免許」と「旧免許状」
教員免許に10年の有効期限を設ける教員免許更新制が、2022年7月1日に廃止されました。これは同年5月11日に参院本会議で可決・成立した教育職員免許法の一部改正に基づくもので、7月1日に施行された改正教育職員免許法では、「施行日時点で有効な教育免許状(休眠状態のものを含む)は、手続きなく、有効期限のない免許状となる」こととなりました。
この法改正で注目されたポイントの一つとして、上記の「(休眠状態のものを含む)」という記載が挙げられます。休眠状態のものとは、有効期限を超過した時点で非現職教員だった人が持つ、「休眠」扱いの旧免許状(2009年3月31日以前に初めて免許状を授与された者が保有する免許状)を指します。これまで休眠扱いの免許状を持つ人=ペーパーティーチャーが教員免許を必要とする職業に就く際には、更新講習を受講して免許を回復させる必要がありましたが、2022年7月1日をもって自動的に有効な免許状となりました。
教員免許更新制の廃止は、必要な教員数の確保とその資質能力の確保の両立を目的としており、“発展的解消”と位置づけられています。「(休眠状態のものを含む)」という記載は、そのあらわれの一つ。「教員に転職したい」「教員として復帰したい」といった思いを持つ人、思いはあってもなかなか踏み出せずにいた人を後押しする法改正とも言えるでしょう。
期限切れの教員免許は自動的に復活する?手続きが必要?
「法改正によって、自分自身の教員免許はどのような取り扱いになるのだろう?」という疑問を抱いている方は、まず、改正法施行日の2022年7月1日時点で、免許状の有効期間が満了しているか否かを確認しましょう。有効期間の満了の日(修了確認期限)が2022年7月1日以降であれば、自動的に有効期限のない免許状となるため、手続きは不要です。
有効期間の満了の日が2022年6月30日以前の場合、旧免許状は、「有効期間の満了の日時点で現職教員であったか否か」によって取り扱いが異なります。
また新免許状(更新制が導入された2009年4月1日以後に初めて免許状を授与された者が保有する免許状)は、有効期間の満了の日時点で現職教員であったか否かに関わらず、失効となります。
【旧免許状を持っている方】
・有効期間の満了の日時点で現職教員(産休・育休中の者等も含む)だった方→失効
・有効期間の満了の日時点で現職教員ではなかった方→休眠(有効期限のない免許状)
【新免許状を持っている方】
・有効期間の満了の日時点で現職教員(産休・育休中の者等も含む)だった方→失効
・有効期間の満了の日時点で現職教員ではなかった方→失効
「失効」扱いの免許を持つ人は基本的に、都道府県教育委員会に再授与申請手続きを行うことで、有効期限のない免許状の授与を受けることが可能です。手続きの詳細は都道府県によって異なるため、文部科学省ホームページの「免許状授与手続窓口一覧」で申請先を確認の上、直接問い合わせましょう。
●文部科学省ホームページ
免許状授与手続窓口一覧
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/010/1314009_00001.htm
注目!教員のための新たな研修制度がスタート
教員免許更新制の廃止に伴い、2023年4月1日からは、教員の研修履歴の記録作成、研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等の仕組みのもと、新たな研修制度がスタートします。
この制度に先駆けて2022年6月27日には、文部科学省から新たな研修制度に関する指針改正案とガイドライン案が公表されました。指針改正案では、教員に共通的に求められる資質能力が、「教職に必要な素養」「学習指導」「生徒指導」「特別な配慮や支援を必要とする子どもへの対応」「ICTや情報・教育データの利活用」の5つの柱で再整理され、研修機会や体制整備等に対する考え方が明記されました。
またガイドライン案では、「校長等による研修履歴を活用した対話に基づく研修受講奨励」のプロセスにおいて、さらに伸ばすべき分野・領域、改善すべき分野・領域などについて、必要に応じて指導助言等を行うとしています。
文部科学省がめざすのは、教員・学校のニーズや課題に応じて、個別最適で協働的な学びを主体的に行う「新たな教師の学びの姿」の実現です。すでに文部科学省ホームページでは、免許が失効した方や休眠状態となっていた方、社会人経験を経て初めて教職に就く方などを対象とした動画教材「基礎的研修シリーズ(まずはここから)」や、各機関による研修・学習コンテンツ等を、キーワードや講習日程、ライブ双方向形式やオンデマンド形式といった講習形態、学校種などで検索できる情報データベースの提供がスタート。「仕事が忙しくて準備のための時間がなかなかとれない」「ブランクがあるので不安」という方も、自分に必要な研修・学習を無理なく着実に進めることができます。
●文部科学省ホームページ
教員免許更新制の発展的解消と「新たな教師の学びの姿」
https://www.mext.go.jp/a_menu/14167461.htm
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