英語は、教員免許を取得できる大学が多いこともあり、採用にあたってはライバルが多い教科の一つです。一方、教育改革の過程で英語の教員に求められるスキルは明確化しており、幅広い層にチャンスが広がっていると捉えることもできます。取得すべき免許や改革の現状など、採用を勝ち取るために知っておきたいポイントをご紹介します。
英語教師になるには? 免許は通信で取得可能?
取得しておくべき免許は、中学・高校の英語。大きな特徴は、他教科よりも多くの大学で免許を取得できる点にあります。教育学部・文学部・外国語学部などの人文科学系はもちろん、国際関係学部・経済学部・商学部・法学部といった社会科学系の学部・学科でも取得が可能です。通信課程を設置している大学もあるので、大学卒業後に取得もできます。小学校を併設する学校法人であれば、小学校の教員免許を取得しておくと有利と言えます。
●通信制大学での取得方法について
https://www.e-staff.jp/reading/10630
●文部科学省ホームページ
中学校教員・高等学校教員(英語)の免許資格を取得することのできる大学
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/daigaku/detail/1287069.htm
(令和3年4月1日現在)
英語教員に求められる資格・スキルは?就職・転職を有利に進めるために
前述のように数多くの学部・学科で教員免許を取得することができる英語は、競争率が高い教科の一つです。ただし間口が広いぶん“いざという時の保険”として取得する人の割合も高いことが予想され、本気で「中学や高校の英語の先生になりたい」と考えている人は、思っているほど多くないかもしれません。とはいえ、強い思いや幅広い免許を持っているというだけでは、採用につながりにくいというのが現実です。
英語の教育改革の目的は英語コミュニケーション能力の向上にあり、4技能5領域(「聞く」「読む」「話す(やりとり・発表)」「書く」)が重視されています。それらに対応した授業の実践に向けて、文部科学省や各教育委員会は、英語科教諭に求められる英語力をCEFR B2レベル(英検準1級・TOEFL iBT 80点・TOEIC L & R/S&W 1560~1840点)以上と設定し、このレベル以上の英語力を有する教員の割合の向上に取り組んできました。中・高ともその割合は増加傾向にあることから、英語を日常的に使う学部・学科で学んできた人、留学経験がある人、英検などを活用してレベルアップを図ってきた人など、高い英語力を身に付けている人が有利であることがうかがえます。
これは言い換えれば、大学の学部・学科・専攻や教員としての経験の有無などに関わらず、英語力を磨くことでチャンスを掴むことができるということ。これから英語科教諭をめざす方は、CEFR B2レベルはマスト、TOEIC L & R/S&Wであれば1700点くらいを目標に、英語力アップに励むことをおすすめします。
新学習指導要領のもと、求められる教科指導力とは?
英語教育改革のスタートは、英語の必修化に向けて小学校での移行措置が始まった2018年度です。その時の小6が2022年度、高1になりました。まさに英語教育改革の集大成となる高校の新学習指導要領では、扱う語彙数は1800~2500語程度増加、小学校から高校卒業までとすると、4000~5000語もの増加となっています。また高校卒業時のゴール設定は、英検2級レベルまで引き上げられました。
その中で特に重点を置いているのが文法です。5領域を総合的に扱う新科目『英語コミュニケーション』では、使用する場面を意識しながら“コミュニケーションのための文法”を、また発信力を高めるための新科目『論理・表現』では、「話す(やりとり・発表)」「書く」に特化し “論理的に表現するための文法”を習得します。小・中学校でインプットしてきた様々な表現を、文法という切り口で体系的に整理し、アウトプットする力を磨きます。
今後求められるのは、ICTを活用しながら、グループワークを取り入れ、教員自身も英語を積極的に話すなどの、「質」と「量」を両立させた総合的な授業です。単なる受験英語とは異なる次代を見据えた実践的な学びは、ベテラン教員にとっても未知の領域。つまり若手を含む誰もが、突破口を見出す可能性を秘めているのです。民間企業からの転職、退職後の再就職、出産・育児後の復帰を考えている方にとっても、強みや経験を活かす絶好のタイミングと言えるのではないでしょうか。