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コラム

通信制高校の教員になるには?仕事内容・教育の特徴について知りたい!

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2023/05/09

高校の数が全体として減少している昨今、増加傾向にある通信制高校。「何らかの事情で全日制には行けない生徒の受け皿」として、高校進学の際の選択肢の一つになっていましたが、やりたいことに注力することを目的として積極的に通信制高校に入学・転学するケースも見られ、最近では多様な生徒から選ばれる場となっています。その特徴や全日制高校との違い、教員の仕事内容、教員に求められる資質などについて、長尾谷高等学校の正木 仁校長にお話をうかがいました。

長尾谷高等学校
校長 正木 仁 先生

通信制高校の特徴、全日制・定時制との違は?

通信制高校の大きな特徴は、全日制や定時制とは異なり、毎日学校に通う必要がないというところにあります。通信手段を主体とし、面接指導・添削指導・試験などにより教育を実施します。高校の卒業資格を得るためには、全日制や定時制と同様に、「3年間以上の在籍期間」「74単位以上の修得」「30時間以上の特別活動への参加」の三つを満たす必要があります。

毎日通う必要がないのは、通信制高校では生徒が個別に自学自習することを前提としていて、基本的に「授業」がないからです。卒業要件となる必履修科目ごとに、たとえば「2回の面接指導・6回の添削指導」といった条件が設定されています。添削指導として課すレポートなどでわからなかったところを、面接指導で教えるというのが基本スタイル。そのため、スクーリングと呼ばれる登校日をどのように設定するのか、卒業要件とはならないホームルームや部活動を行うか否かなどは、学校の教育方針などによって異なります。

通信制高校にはどんな生徒が通っているの?

通信制高校の歴史は、戦後、勤労青年に高校で学ぶ機会を提供することを目的として設置されたことに始まりますが、現在、その位置づけは大きく変化しています。不登校やドロップアウトなど、何らかの事情で全日制高校に通えない人の受け皿という重要な役割を担っており、最近では、中学校の教員の方や保護者の方が、全日制との違いを踏まえ、進学先の選択肢の一つと考え、選ぶケースが増えてきました。生徒自身が受験勉強や芸能活動などに注力するためにあえて通信制高校を選ぶ、 “積極的入学”も少なくありません。

ちなみに、本校に通う生徒は実に多様です。小・中学校では不登校だったものの、入学後は行事の実行委員を務めたり、部活動を楽しんだりと、充実した学校生活を送っている生徒もいます。前籍校で取得した単位は認定されるため、受験勉強に集中するために高3から本校へ転学した生徒もいました。“不登校=学力が低い”ということではないので進路も幅広く、国公立大学に進学する生徒もいます。

通信制高校の教員の勤務スタイルは?スクーリング・部活等の事例

教育方針に沿ってカリキュラムやプログラムが展開されるため、それに伴った先生の勤務スタイルは学校ごとに異なるといえます。
ここでは、本校のカリキュラムや先生の勤務スタイル例をご紹介します。

本校では単に卒業資格を得るだけの場ではなく、「大学・社会といった次のステップにつながる人間育成の場」となることを目指し、多様なカリキュラム・プログラムを展開しています。
スクーリングは基本、月・水・金の週3日とし、各科目の重要単元のポイントを解説する授業を実施しています。生徒たちは登録した科目のシラバスを見て、授業を選んで出席したり、あるいはすべて出席することも可能。大学感覚で学べる通信制・単位制となっています。

先生の勤務スタイルは、専任教諭・常勤講師のフルタイム勤務の先生と、非常勤講師の先生で異なります。
※長尾谷高等学校の勤務スタイルの例

[専任教諭・常勤講師の場合]
 ■勤務日数 週5~6日
 ■勤務時間 9:00~17:00(45分休憩)
 ■主な仕事内容
  ・スクーリング(授業)
  ・質問に来た生徒への個別指導
  ・添削指導のためのレポート作成
  ・提出されたレポートの添削
  ・生徒や保護者の対応相談業務
  ・特別活動の引率
  ・校務分掌(進路指導、部活指導 等)

[非常勤講師の場合]
 ■勤務日数 週1~3日 (担当する教科単元による)
 ■勤務時間 担当科目のスクーリング時間(通常9:00~17:00の間に授業が設定される)
 ■仕事内容
 ・スクーリング(授業)
 ・質問に来た生徒への個別指導
 ・提出されたレポートの添削

通信制高校の教員に求められる2つのこと

昨今教育のスタイルが多様化し、ICT機器を活用した双方向授業のニーズが高まっております。本校でも、学び方の選択肢を増やすことを目的に、導入を検討しています。学校によって異なるとは思いますが、通信制に限らず、eラーニングの教材作成などに関わる知識・スキルをお持ちの方は、今後より幅広く活躍できるのではないかと思います。

そしてさらに大切なことの1つが、「生徒に寄添う姿勢があるか」という意欲や人間性にかかわるポイントです。
通信制高校に通う生徒は多様です。そのため本校では教員を採用する際に「生徒に寄り添う姿勢があるか」という点を重要視しています。
その思いは、中学新卒生対象に全日制に近いシステムでサポートする高1の『スタートクラス』の運営を通して、より強くなりました。『スタートクラス』の担当を務めたのは、27歳の体育科教員です。ていねいにフォローするため保護者の方からの評判が良く、生徒からは「話を聞いてくれるからうれしい」といった声が多く聞かれました。

通信制高校の場合、幅広い学力層に指導するという難しさはありますが、そうした指導力は経験を積みながら磨いていくもの。何よりも大切なのは、あらゆる業務において、「寄り添う姿勢」をベースに取り組めることだと感じています。

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