学童保育の仕事を知りたい!①仕事内容編
核家族化と女性の社会進出が当たり前となり、さらに地域住民相互のつながりが希薄になっている現代、国は解決すべき課題として「仕事と子育ての両立」に注力しています。
そのための最大の難所は、子どもの小学校入学後に訪れる「小1の壁」。それを乗り越える手段として『学習塾』『学童保育』『放課後こども教室』『放課後デイサービス』などが挙げられます。今回は特に需要の高まりに対して施設数・支援員数とも不足し、待機児童数が増え続けている『学童保育』の仕事について特集します。
学童保育はどんな施設?利用するのはどんな子ども達?
『学童保育』は、『放課後児童クラブ』とも呼ばれています。法律上の名称は『放課後児童健全育成事業』で、就業などで保護者が家にいない小学生の児童に、遊びや学びなどの生活の場を提供し、健全な児童を育成する事業のことです。
学童保育では、「生活の場」を提供することを基本としています。そのため、教育や習い事的な立ち位置ではなく、子どもの主体性を大切にし、安心して生活できる居場所づくりを行います。
共働き家庭などで、これまで保育園等を利用してきた方も、小学校に上がったとたんに預け先がなくなることは少なくありません。学童保育は、こうした家庭を支援する施設
です。
学童保育で行うこととしては、主に以下があげられます。
・子どもの出欠確認
・子どもの安全見守り
・学習やあそび時間の提供
・食事やおやつの提供
・保護者や学校との連絡調整
・行事等の企画
学童保育には、株式会社やNPO法人など事業者が運営する『民間学童保育』、自治体が児童館や小学校に設置して運営を行う『公立学童保育(公営)』、自治体が設置し、運営のみを民間会社に委託した『公立学童保育(民営)』の3種類があります。
民間学童保育と公立公営学童保育(公営・民営)の違い
学童保育は、共働きなどで日中に保護者がいない小学生を対象に、放課後の遊び場や生活の場を提供することを目的としています。自治体が管理する『公立学童保育(公営・民営)』と、企業やNPO法人が運営する『民間学童保育』では、対象となる子どもや預かり時間、料金、学童での過ごし方などが大きく異なります。
(当社エデュケーショナルネットワーク公民連携推進部子ども支援課調べ)
公立学童保育は「料金が安い」「約7割が小学校の中に設置されており、子どもが一人で長く移動する必要がない」や「広い校庭で遊べる」等のメリットがあげられますが、反面で「人数に対して施設が狭いことがある」「預かりの時間が短い」「宿題が終われば自由時間なので、学習習慣が身につきにくい」等のデメリットがあげられます。
民営学童は「延長保育の充実」「教育プログラムが豊富で学習習慣が身につく」「送迎バスなどの手厚いケア」等のメリットがあげられますが、反面で「料金が高い」「学校から遠い場合がある」等のデメリットがあげられます。
民間と公立のサービス内容を一覧表で見ると大きな違いがあることがわかりますが、いずれも児童数約40人に対して2人以上の支援員をおくことが基本です。
学童スタッフの仕事内容・一日のスケジュールは?
学童スタッフ(放課後こども教室や学童保育の職員)の仕事内容は、リーダー(現場責任者)・スタッフ(補助員)と役割によって異なります。
ここで、当社エデュケーショナルネットワークが自治体から受託し運営している学童保育の実例を参考に一日の仕事の流れをご紹介します。
●スタッフ(補助員)の一日の仕事の流れ(例)
13:00 出勤
13:10 保育の準備やイベントのサポート(参加者リストの確認、環境整備(消毒・掃除・整理・備品の補充など))
14:00 朝礼ミーティング(教室の配置確認、子どもたちの情報共有や打合せ)
14:30 子ども受け入れ(挨拶、学習タイム)
15:00 あそびの時間(自由遊びの見守り(室内遊び)のサポート)
15:30 おやつの時間(配膳や見守り)
15:50 あそびの時間(自由遊びの見守り(外遊び・室内遊び)のサポート)
17:00 お迎え対応(安全に配慮しながら見送りの対応)
19:00 明日の準備(閉室作業、掃除、鍵の施錠)※子どもたちの退室はその都度対応
19:30 退勤
放課後の児童の預かりを行うため、出勤は13時でとなり午後からの勤務開始となります。そのため退勤時間は19時30分とやや遅めです。民間学童保育の場合は延長保育などもあるため、さらに遅く設定されていることもあるでしょう。
●リーダー(現場責任者)の一日の仕事の流れ(例)
11:00 出勤(室内清掃や整理整頓、当日の出席予定者を確認、事務作業や、メールチェック)
12:00 休憩
13:00 保育準備
14:00 朝礼ミーティング(スタッフ同士で情報共有や打ち合わせ)
14:30 子ども受け入れ(挨拶、出席状況の確認)
15:30 おやつの時間(配膳や見守り)
16:00 あそびの時間(安全に注意しながら全体見守り)
17:00 お迎え対応(見送りや保護者の方への対応)
18:00 事務作業(業務日誌の作成や翌日準備)
19:00 明日の準備(出席予定者の確認、室内清掃)
19:30 終業、退勤
リーダー(現場責任者)になると、スタッフより出勤する時間は早く、11時頃が出勤時間となるケースが多いです。スタッフと同様に子どもの指導・見守りにあたりつつ全体の管理も担います。
学童スタッフの「やりがい」「大変なこと」は?
学童スタッフにとって大変なことは「子ども同士のトラブル」「安全管理」「保護者対応」の3点が挙げられます。
心も身体もこれから成長をする子ども同士は、些細なことでトラブルに発展することが多いもの。同じトラブルを繰り返すことも多く、自身の支援方法に疑問を感じることもあるでしょう。
「安全管理」は、子どもを預かるうえで、最も気をつけなければならないことの一つです。子どもたちは非常に活発で、予測できない行動を取ることもあります。そのため、大きな怪我や事故につながることがないよう視野を広げなければいけません。
また、保護者から意見や要望のほか、苦情も施設に寄せられることはめずらしくなく、「保護者対応」も学童スタッフの大切な業務です時には、利己的な意見・要望があったり、保護者の語気があまりに強いと戸惑うこともあるでしょう。どのようなときも「立場は違っても、子どもの健やかな成長を願う思いは同じ」と考えて、信頼関係を築き、保護者が安心できるように対話をする姿勢が求められます。
実際に「大変なこと」として現場の学童スタッフからは「子どもはその日の気持ち、状況で振る舞いが違う。子どもの気持ちを理解しながら適切に対応するのが難しい」「職員に対して反発することもあり、対応に悩む場面もある」などの声が上がっています。
一方で、正解がないからこそ、ほかのスタッフと相談し合いながら子どもたちが安心安全に、また楽しく過ごせる環境を作っていくことに楽しさがあります。
「子どもによって成長のスピードはさまざまだが、成長の場面に立ち会えたときは自分のことのようにうれしくなる」「学童の卒業時に『先生がいてくれてよかった』と言ってもらえた」と、やりがいを感じることも多い仕事です。
子どもは、遊びや日常生活を通じて他者と関わり、自主性・協調性・社会性を学び、成長します。成長の過程では他者とぶつかることもあるでしょう。学童保育は、子どもたちの「学校と家庭とは違う、もう一つの成長の場」として受け止めることが大切です。
学童スタッフに向いているのはどんな人?
学童スタッフに向いているのは、「子どもが好きな人で、いつも子どもにとって何が良いことなのかを常に考えられる人」といえるでしょう。子どもたちのために、常に考え続けていくことができる人は、子どもが安心・安全に学童で過ごせるよう意識をもって取り組めると思います。
また子どもは、突発的に危険な行動を取ることもあります。大切な命を預かっている」という自覚を持って危険を阻止し、安全に配慮した行動ができるようになれるよう心がけることも大切です。
さらに子ども、保護者への対応や他の支援員との情報共有などを考えると、傾聴力、コミュニケーション力、さらには共感力がある人も向いているでしょう。
とはいえ、子どもの個性は多様なため、その対応に正解はありません。最も大切なことは、学童スタッフとして「子どもと一緒に成長する」というと言えます。
※この記事は、株式会社エデュケーショナルネットワーク 学童・子ども教室チームが監修しました。
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