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国家資格化で何が変わる? 日本語教員への第一歩(前編)

2024/12/27

留学生、あるいは労働者や移住者、その家族など、日本国内における在留外国人の数が増加の一途を辿っています。総務省の調べによると、2015年~2020年にかけての増加率は43.6%にも達していました。そんな彼らにとって、大きな壁となるのが言語の問題です。家族全員が日本語に不自由があり、職場や学校、地域に馴染めず日常生活に支障をきたすケースもよく見られます。そこで近年ニーズが高まっているのが、彼らに日本語を教える『日本語教員』です。2024年4月には国家資格化もされました。仕事内容や、どうすればなれるのか、どのような人に向いているのか、注目の『日本語教員』について前編・後編に分けてご紹介します。

何をする? どこで働く? 日本語教員の仕事内容

『日本語教員(日本語教師)』とは、その名の通り「日本語を教える指導者」です。しかし根底にある目的は、外国人の日本での目標達成や生活への適応を手助けすること。そのためには、日本の文化・歴史・生活教養・社会の仕組みなどを正しく理解し、それらを題材にしながら日本語を教える必要があります。業務そのものは言語学習の指導でも、それを通して日本での生活サポートを担う存在が日本語教員であるとイメージするとよいでしょう。

また、ひとことで『日本語教員』と言っても、勤務先・勤務形態は多岐に分かれます。日本語教育機関(いわゆる日本語学校)、公教育下の一般的な学校、インターナショナルスクール、自治体が実施する日本語学習支援の場などさまざまです。企業の研修担当や、個人的に委託を受けて活躍するフリーランサー、ボランティアで取り組む人も。生徒の多くは外国人ですが、海外生活が長く日本語をうまく話せない日本人などが含まれることもあります。

2024年4月から『登録日本語教員』として国家資格化

「教員」という名称がついていますが、日本語教員になるために、教員免許や特別な資格などは原則として必要ありません。一方で、その影響もあってか指導方法や指導技術のレベルに統一基準がなく「日本語教育」としての質担保が難しい状況にありました。

そこで2024年4月から導入されたのが、国家資格『登録日本語教員』の制度です。これに伴い、「認定日本語教育機関」で日本語を教えられるのは有資格者のみとなります。認定日本語教育機関とは、一定要件を満たした日本語教育機関を国が公式に認定したもので、全国で22の機関が審査を通過しています。

こう聞くと、登録日本語教員の有資格者でなければ日本語教員になるのは難しいのかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。現時点(2024年末)で国家資格が必須なのは、あくまで認定日本語教育機関で教える場合のみです。また、国家資格の導入以前から民間資格も存在していました。『420時間/日本語教師養成講座』『日本語教育能力検定試験』、大学の『日本語教育専攻修了』などは、日本語指導技量の客観的証明として今でも有効です。さらに言えば無資格でも活躍している人はいますし、資格不問の求人もあります。国家資格の取得を目指すかどうかは、自分がどこで働きたいのか、どんな働き方をしたいのかで考えるとよいでしょう。

ただし、今後は業界全体にも動きが出てきそうです。認定日本語教育機関以外にも、独自の採用基準で「要国家資格」とする機関も出てくるかもしれません。そうでなくても、人材としての市場価値という意味では、国家資格保持者のほうが有利になるのは事実です。

初となる2024年度試験では、合格率62.6%

登録日本語教員になるには、大きく分けて「養成機関ルート」「試験ルート」の二つがあります。前者は「特定の登録養成機関で学ぶ→応用試験→実践研修→登録日本語教員」という経路です。後者は、養成機関で学ばない代わりに「基礎試験→応用試験→実践研修→登録日本語教員」という手順になります。養成機関で学んで資格取得を目指すか、試験一本で目指すかの違いだと考えると良いでしょう。
気になる試験内容は、基礎試験が、日本や世界の文化への理解、言語と社会や心理の関わり、言語と教育、言語の構造など。応用試験は、これらの知識を活用した問題解決能力や現場での対応能力が試されるような出題がなされます。いずれも回答は選択式です。

ちなみに、初となった2024年度の試験では、1万7,655人が受験して1万1,051人が合格。合格率は62.6%という結果となりました。これから「日本語教員」という職業自体の社会的な地位や知名度、人気も大きく向上していきそうです。(※参考:文部科学省資料  https://www.mext.go.jp/content/20241220-mxt_nihongo02-000039332_1.pdf)

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