働き方改革で私立学校の先生の働き方はどう変わる?
「生徒たちのために、学校に夜遅くまで残るのは当然」――これまで教員の当たり前だったことが、いま、「働き方改革」という社会全体の潮流とともに変化しつつあります。ただし、公立学校と私立学校ではその捉え方や仕組みも違います。両者の違いを比べながら私立学校の先生の働きやすさを考えてみたいと思います。
まず「学校の働き方改革」とは?
最近の日本では「働き方改革」が叫ばれるようになりました。一億総活躍社会の実現を目指し、労働環境を見直す取り組みのことです。長時間労働を放置すると、働く人の心身の健康が損なわれやすく、過労死などの深刻な問題にまで至ってしまうことはご存知でしょう。また、人々のライフスタイルの変化に合わせてテレワーク、在宅勤務などの柔軟で多様な働き方も求められています。
民間企業では2019年4月から「残業時間の罰則付き上限規定」や「5日間の有給休暇取得の義務化」などの法律が定められ、残業時間削減のため業務の効率化や作業の見直しが進んでいます。公立学校も例外ではありません。小学校で3割、中学校で6割の教員が「過労死ライン」に置かれている現状を改善するため「学校の働き方改革」が進められています。
公立学校は脱・ブラック化を目指すが…
ただし、公立学校の場合は教員という専門性から事情は少し変わってきます。労働時間を1日8時間と区切るのが難しいことから、郊外実習や修学旅行などの行事、職員会議、非常災害などの場合を除き、原則として時間外勤務はしないとみなされています。しかし、現実にはどうしても時間外勤務は発生してしまうため、毎月の給与に「教職調整額」といって4%を上乗せすることになっています。しかし、先程も述べたように多くの先生が過労死ラインの長時間勤務となっており、この4%という額が勤務実態に見合っていないことが「ブラックな職場」として指摘されている点なのです。
こうした現状を鑑み、中央教育審議会は2019年1月に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方 改革に関する総合的な方策について(答申)」をまとめました。中でも、これまで学校や先生が担ってきた業務を明確にし、勤務時間制度の改革を強く各教育委員会に求めました。
この春からタイムカードを導入した学校や、授業準備のためのサポートスタッフを配置したり、部活動指導員などを置く学校も出てきました。答申では改革の工程表の例を示し、3年後の2022年に勤務実態調査を行うべきとしています。