模擬授業って何?
模擬授業の基本形式
教員採用試験の模擬授業は、実際に使用している教室を使って、3~5名の試験官に向けて10~15分ほど授業を披露するというものです。珍しいケースでは、生徒に対して実際に授業を教えることもあります。試験官はその教科を担当する教員を中心に、教頭や校長が同席することもあります。
なぜ模擬授業をやるの?
教員に採用されると、いわば即戦力として、授業を受け持つことになります。授業のシミュレーションである模擬授業は、応募者がすぐに現場で活躍できるだけの指導力を持っているかどうかを実際に見て確かめるという面があるのです。
とはいえ、学校での授業経験が教育実習くらいしかない新卒や、キャリアが浅い20代の場合、授業のスキルやテクニックを求められても対応が難しい場合がほとんどでしょう。また、ベテラン教員のようなスキルは求められていないことも多いです。ベテラン教員の採用をする場合は、模擬授業を行わない場合もあるほどです。
模擬授業で問われているのは、授業のうまい下手ではありません。授業スキルよりも大切なのは、応募者が授業に向かう姿勢やどんな思いを持っているのかです。模擬授業を通して、応募者がその学校の生徒に合うか、うまく働くことができるかを見極めたいと考えているのです。
模擬授業の心構え
最大のポイントは、授業に対する責任感や誠実さです。自分が得意とする授業スタイルやスキルをアピールすることも大切ですが、あくまでも、生徒主体という意識を根幹に据え、模擬授業に臨みましょう。
模擬授業の選考通知とともに、クラスのモデル(単元や学年など)、授業の条件(用いても良い道具や器具など)が書かれた指示書が送られてきます。学校によっては「高3の進学クラス」など、具体的な指示がある場合もあります。そこから意図を読み取り、指導案を作成しましょう。さらに、応募する学校の学力レベルや教育方針も含めてどんな生徒がいるのかを想定し、模擬授業を展開しましょう。
私立中高一貫校の模擬授業で、最も多く設定されるのが中3や高1、いわゆる“なかだるみ”の学年です。学習の動機付けや生徒の意欲を引き出すことが大きな課題となります。また、最近は座学による従来型の授業から「主体的・対話的な授業」へ重き置かれています。生徒の意欲を引き出せる授業かどうか、そのための工夫を見ることができるかどうかは、すべての学年のどの教科においても、ポイントとなることは間違いありません。常に意識するようにしましょう。
模擬授業後の面接にも備えよう
模擬授業は面接とセットになっているケースが多くあります。模擬授業後の面接では、指導案の全体像や授業計画などについて口頭で説明を求められます。
模擬授業で実施した内容にどのような意図や狙いがあるのか、背景にある指導案や、授業に対する自分の考え方、大切にしていることなどを言葉で説明できるように備えておきましょう。