私立中学・高等学校のイロハ
上記は文部科学省の調査による、令和元年度の学校数です。
※リンク先で都道府県別の学校数の調査結果も確認できます。
ここではいくつかのタイプ別に私立学校の違いを解説していきます。
中等教育学校・完全中高一貫校・併設型中高一貫校・高校のみの学校
私立の中学校・高校には、中学入学者だけを募集するのが「中等教育学校」、「完全中高一貫校」です。中等教育学校は中学と高校が一体となった学校で、6カ年間を連続した教育機関としてカリキュラムが組まれています。
高校からも入学できるのが「併設型中高一貫校」です。また、中学校を持たない高校だけの学校も多くあります。併設型中高一貫校では、「中学入学の生徒」と「高校入学の生徒」の扱いはさまざまです。中学入学の生徒と高校入学の生徒を分けずにクラス編成を行う学校もあれば、クラスやコースが完全に分かれているなど、それぞれ異なるカリキュラムを採用している学校もあります。
ここで紹介する4つのタイプのほか、少数ですが「小中一貫校」や「中学校だけ」という学校もあります。
男子校・女子校・共学校
男子校や女子校には、異性の目を気にせず気兼ねなく過ごせる環境があります。そのため生徒同士はもちろん、生徒と教員が気軽に話せる雰囲気があり、距離が近いのが特徴です。
また、男女の発達段階の違いを大切にしており、教員には、そのことに配慮した指導が求められます。
男子校・女子校は都心部の伝統校が多く、共学校は比較的新しい学校が多い傾向にあります。また、男子校や女子校から共学化する学校も増えています。
参考資料:首都圏(1都3県)の私立中高一貫校の数
(『私立中高進学通信』2019年4月調べ)※2020年4月より小野学園女子(東京都・女子校)、聖ヨゼフ学園(神奈川県・女子校)、2121年4月より芝浦工業大学附属(東京都・男子校)、聖徳大学附属女子(千葉県・女子校)などが共学化を予定。
ここ数年は男子校・女子校の共学化が進んでいますが、共学校は男女の生徒数の違いや学校の成り立ち(元・男子校、元・女子校など)によって校風や教育方針も変わってくるようです。
ここで紹介した以外に「別学校」や「併学校」があります。これらの学校では、たとえば授業は男子と女子が別々の教室で行い、行事は男女一緒に行うなど、独自の体制を採用しています。
キリスト教プロテスタント校・キリスト教カトリック校・仏教校
宗教校の存在は、公立校にはない私立学校の大きな特徴です。宗教校ではそれぞれの宗教(宗派)の教えをベースとした人間教育を大切にしています。礼拝や座禅、宗教行事などが学校生活に組み込まれており、その考え方に対する理解は必要ですが、教員も生徒も入信する必要はありません。
ここで紹介した以外にも、神道や、プロテスタント・カトリック以外のキリスト教宗派の学校、その他宗教法人が設立した学校などがあります。
伝統校・新鋭校
戦前に設立された学校を伝統校、戦後に創られた学校を新鋭校と呼ぶ傾向があります。長い歴史を持つ伝統校では、創立時の理念が息づいており、卒業生の教員も比較的多いのが特徴です。新鋭校では、創立者や校長のリーダーシップが強く、学校づくりに関わるケースが多く見ることができます。
大学付属校、半付属校、進学校
大学の系列校には、生徒の多くが系列大学に進学する大学付属校、系列大学以外の大学へ進学する生徒も多い半付属校、ほとんどが系列大学以外へ進学する進学校などがあり、進路・進学指導もそれぞれ特色があります。
また、同じ大学の系列中学校や高等学校であっても、各校で校風や進路に対する考え方は異なります。大学名だけではなく、各校の教育方針にも目を向けるようにしましょう。